防空警報音響テスト(9/18)

大連では毎年 9/18の朝「防空警報音響テスト」があります。

事前知識無しに突然街中に響き渡るサイレン音を初めて聞くと、映画やTVで聞いたことがある空襲警報のサイレン音だ!何事?戦争始まったのか?Yahooニュース見なきゃ!と、少しビビってしまいます。ましてや旅行でこの日に中国、大連を訪れて初めてサイレン音を聞いた人は当惑してしまうと思います。

今年も 9/18(月) 9:18 am から 9:33 am まで街中に響き渡る警戒警報、空襲警報、解除警報と3種類のサイレンのテストがあります。日本のJアラートの警戒警報訓練のようなものですが、このテストには3つの狙いがあります。

  1. 戦争時の災害数抑制、警報の認知、機器の点検
  2. 歴史の記憶
  3. 発展への奮起

1.については、このようなサイレンの種類の説明の他に、それぞれのサイレンを受けて市民は何をしないといけないか(例えば空襲警報なら窓から離れてくださいなど)も定義されており現地メディアによって周知されます。

2,3について、なぜこの日に行うのかというところについてですが、日本人は8/15はお盆や全国戦没者追悼式のTVニュースなどで見聞することで自然と意識しても、9/18に何があったのかを覚えている人はそういないと思います。

では、満州事変や柳条湖事件と言うと、日本史の授業で習ったなと多くの人が記憶にあるのではないでしょうか。

山川出版社の『詳説 日本史(日本史B)』(2016.3.15発行)から2つほど抜粋します。

・1931(昭和6)年 9月 18日 柳条湖事件/満州事変

関東軍は参謀の石原莞爾を中心として、1931(昭和6)年9月18日、奉天郊外の柳条湖で南満洲鉄道の線路を爆破し(柳条湖事件)、これを中国軍のしわざとして軍事行動を開始して満州事変が始まった。

『詳説 日本史(日本史B)』山川出版社

・1937(昭和12)年 7月 7日 盧溝橋事件/支那事変(日華事変)

第一次近衛文麿内閣成立直後の1937年(昭和12)年7月7日、北京郊外の盧溝橋付近で日中両国軍の衝突が発生した(盧溝橋事件)。いったんは現地で停戦協定が成立したが、近衛内閣は軍部の圧力に屈して当初の不拡大方針を変更し、兵力を増派して戦線を拡大した。これに対し、国民政府の側も断固たる交戦の姿勢をとったので、戦闘は当初の日本側の予想をはるかにこえて全面戦争に発展した(日中戦争)。

『詳説 日本史(日本史B)』山川出版社

日本人の多くは「盧溝橋事件をきっかけに日中戦争へ」と習ったと思います。しかし、中国では1931年9月18日「九・一八事変」(満州事変)からを日中戦争としています。また中国政府は9/18を「国恥記念日」と記念日制定しています。

日本と中国では「田中上奏文」(1929年(昭和4)年頃)の認識ズレによって歴史認識が異なります。中国の学校教育ではこれを習います。日本では習いません。海外に出られる方は体感されていることだと思いますが、学校の授業では受験勉強のため、さっとすませてしまった近代史を何かの折に改めて勉強しておく必要があると思います。

「九・一八事変」は中国東北地方の奉天(今の瀋陽)で発生し、リマインダーという意味もあり毎年この日に音響テストが実施されています。

また、リマインダーに合わせて、国家が弱いと付け込まれることを忘れるな、そうならないためには発展し強大になる必要があると言うことも啓蒙されています。

大連での音響テストは9/18だけです。北京や上海など他都市でも日が前後したりするようですが同様の音響テストがあります。

この「国恥記念日」は9/18以外に、7/7盧溝橋事件(支那事変、中国では七・七事変)が発生した日、5/9 対華21カ条要求を当時の中華民国政府が受け入れた日の合計3日があります。

中国は広く、地域によって濃淡ありますが、これらの日は下記のメールにあるように「ご自身の安全確保には十分ご注意ください」。Weibo(中国のTwitter)などのSNSでもこれらに関連したスレッドが多く立ちます。

在大連領事事務所からのお知らせ(転載)

Subject: 在大連領事事務所からのお知らせ(防空警報音響テストについて)
Date: Tue, 12 Sep 2017 18:00:00 +0900
From: 在大連領事事務所

毎年大連市で行われている「防空警報音響テスト」について、大連市政府から、当地各紙を通じ市民に対し以下のとおり通告がありましたので、お知らせ致します。
なお、この音響テストは大きな音が鳴りますので、在留邦人の皆様は、落ち着いて行動してください。

※このメッセージに対しての返信は不要です。

****在大連領事事務所からのお知らせ****

『9月18日の防空警報音響テストに伴う注意事項について』

1.毎年大連市で行われている「防空警報音響テスト」について、大連市政府から、当地各紙を通じ市民に対し以下のとおり通告がありましたので、お知らせ致します。

〈通告〉
2017年9月18日午前9時18分から33分までの間、防空警報音響テストを実施する。大連人民ラジオ局、大連テレビ局、中国連合ネットワーク通信有限会社大連市支社、チャイナモバイルグループ遼寧有限会社大連支社、中国電信株式有限会社大連支社からも同時に防空警報情報が発信される。

2.なお、この音響テストは大きな音が鳴りますので、在留邦人の皆様は、落ち着いて行動してください。
また、現在のところ、抗議行動やデモ行進等反日的活動が行われるとの具体的情報には接していませんが、在留邦人の皆様、旅行、出張等で当地を訪れる皆様におかれましては、以下の諸点にご留意の上、ご自身の安全確保には十分ご注意ください。
○昼夜関係なく、外出する際には周囲の状況に格別の注意を払い、広場など大勢の人が集まるような場所は特に注意する。
○不審な人物や状況を察知した場合には速やかにその場を離れる。
○抗議行動やデモ行進等には近づかない。
○中国人と接する際には言動や態度に注意する。
○日本人同士で集団で騒ぐ等の目立った刺激的な行為は避ける。

在瀋陽日本国総領事館
在大連領事事務所
遼寧省大連市西崗区中山路147号 森茂大厦3階
TEL:0411-8370-4077 FAX:0411-8370-4066
HP:http://www.dalian.cn.emb-japan.go.jp/

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http://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/oshirase_kaian_app.html

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