前回は日本製ホテルルーターは海外で使えるようになっていないということ、また国内の旅行先のホテルで使えるホテルルーターの比較をまとめました。
今回は、仮にホテルルーターを中国出張へ持って行くとしたら・・・という妄想話を書いてみたいと思います。
中国で利用できる無線LAN規格
国際規格である無線LAN(IEEE802.11)において実際に利用できるチャンネル帯は各国ごとに異なります。日本と中国の差は以下の通りです。
2.4GHz帯(IEEEE802.11b/g/n) | 最後の14chは利用できない |
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5GHz帯(IEEE802.11ac/a/n) | W56(100ch~140ch)は利用できない |
5GHz帯について中国ではBAND4のみ利用可能でしたが11ac規格の導入とともににBAND1(W52), BAND2(W53)が利用できるようになりました。
日本製ルーターは海外では利用できませんので妄想話として手持ちのホテルルーターを持って行く場合は、無線のチャンネル設定は「自動」とせず手動で指定することが重要です。
規格 | 注意点 |
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2.4GHz帯(IEEEE802.11b/g/n) | 13chまでを指定する |
5GHz帯(IEEE802.11ac/a/n) | BAND1,2(36ch~48ch,52~64ch)のいずれかを手動で指定する。 ただし中国の大手メーカーの製品はBAND1(36~48ch)もDFS/TPC機能が付加されていることから、全く共通の技術規格となっているW53/BAND2(52ch~64ch)を指定するのがベター |
中国での無線ルーターに関する一般知識
中国の国内生産の製品は中国の国家規格であるGB規格の元、中国強制製品認証(CCC or 3C)とSRRC認証の2つの制度に基づき製造、販売されています。
中国強制製品認証(CCC or 3C)は日本のPSE規格に相当します。
SRRC認証の方は日本の技適に相当する規格です。技適のようなマークはありませんがCMIIT IDという10桁の認証番号が発行されます。特に海外から中国へ輸入されるルーターはSRRC認証が無いものは税関でのチェックにより輸入できないため中国国内で販売、利用できる輸入品は全てCMIIT IDが付いたものとなります。IDには許可された西暦が含まれています。
中国大手メーカーの製品のルーターでもニッチ領域のものはCCCマーク、CMIIT IDの記載が無いものがあります。
中国での日本製ホテルルーターの利用について
まず日本の現状から。
訪日客が持ち込む海外製WiFi機器については総務省から「海外から持ち込まれる携帯電話端末・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用」のガイダンスが出ており世界共通の技術規格の機器であれば90日以内なら利用OKと見なし認可的な現実解となっています。身近なところでは海外モデルiPhoneが日本で使えるかどうかは技適マークの有無によるとなっています。
中国においてはSRRC IDの有無によりますが日本製のホテルルーターで取得しているものはありません。
ルーターではありませんがiPhoneSE(Model 1723)ではUS、カナダ、ヨーロッパ、日本、ロシア、マレーシア、中国、台湾など様々な国の認証情報の記載が列挙されていますが、日本で購入できるiPhone X(A1902), iPhone 8(A1906), iPhone 7(A1779)の[一般]-[法律に基づく情報]-[認証]を見るとUS、カナダ、ヨーロッパ、日本の認証情報のみが記されています。
現地でホテルルーターやルーターを購入する際は、中国メーカーである小米、日本でも馴染みのあるTP-LINK社のものが良いと思います。なお日系メーカーの製品はありません。
次回はTP-LINK社のホテルルータ-を取り上げてみたいと思います。