海外旅行といえば、電源の変換プラグはどの形状を持っていけばいいんだっけ?また、ホテルで携帯、モバイルバッテリー、モバイルWiFi、デジタルカメラなど多くの電子機器を一度に充電する時にコンセントが足らず困ったことはないですか?
そんなときに電源タップ(テーブルタップ)を持っていくと便利なのですが、中国で使うには注意すべきことがあります。中国、大連に行くにはどんな変換プラグを用意すれば良いか、また電源タップの選び方についてご紹介します。
電源プラグ(差込プラグ)の形状
中国で発売されている電子機器の電源プラグ(差込プラグ)の形状は基本3ピン(Oタイプ)です。頭突き&モンゴリアンチョップをイメージしていただくと覚えやすいかと。これ以外で低電力の機器のもの、例えばUSB充電器などは日本と同じ2ピン(Aタイプ)となっています。
電源コンセントの形状
中国、大連のホテル、サービスアパートメント、マンションの電源コンセントはこのような2口の形状で、日本の機器の電源プラグ(Aタイプ)もそのまま上の口に挿すことができます。(ただし注意事項がありますので最後までお読みください。)
このような形状なのは、20世紀初頭の欧米列強の中国進出の名残りで、欧米諸国の統治していた地域によって電源プラグの形状が異なった事情があり、その全てをサポートするためです。なお、現在の中国は高電圧のためアースピンがある上記の写真の3ピンのものが標準です。(このコンセントでは下の口を使います。)
他のサンプルとして左から「大連日航飯店(ホテル・ニッコー大連)」、丹東(北朝鮮国境の都市)のホテル「假日陽光酒店(サニーリゾートホテル)」、中国の国内を東西南北に走る高鉄(中国の新幹線)の座席電源コンセントです。いずれも同じ形状です。
日本から持ち込んだ機器はそのまま挿せますので、中国旅行、出張に関してはこのような電源の変換プラグの持参は不要です。
日本と中国の電圧の違い(中国は電圧220V)
次に電圧について日本は100Vですが、中国は電圧220V、電源周波数は50Hzです。
そのため海外対応していない100V専用の日本の電化製品をそのまま挿してはいけません。
差し込んで電源をONにすると機器のヒューズが溶けたり、ヒューズの無いものは故障して使えなくなるか、利用アンペアが高い製品だと導線が溶けショートしパーンという音とともに火花を散らすか、内部のコンデンサなど電子部品が持たず最悪爆発します。
まず機器が海外対応してるかどうかを確かめましょう
例えばインクジェットプリンターですが、モバイルを想定した小型プリンターは電圧240Vまで対応していますが、持ち運びを想定していない家庭で設置して使うようなプリンターは100V専用です。
このように定格100V となっているものは、中国でコンセントに挿すことができても使ってはいけません。日本で使っている100Vの製品をどうしても持っていきたい場合は、変圧器を使って利用できる場合があります。下記を参照ください。
このように入力電圧の表記が100V-240Vとなっていれば、中国でそのまま利用できます。
持っていく機器の裏面やメーカーサイト商品説明ページ、説明書などで入力電圧(INPUT)をよく確認しましょう。
利用できる電源タップ(テーブルタップ)
だいたいホテルで宿泊者が利用できるコンセントは少ないため、充電に口数が足らずに困ることが多いですね。ホテルだと部屋に準備されていたり客室係から借りることもできますが、宿泊先によっては言葉で困る場合もあると思います。ここでは自前で電源タップを準備する方法をご紹介します。
日本から持って行く場合
日本から持って行く場合は、海外使用可の電源タップを持って行きましょう。
日本で使っている電源タップをそのまま持って行って使うには日本と中国の電気に関する規格、中国の電圧変動幅、電力に関する公式P=IVなど知識が無いと電源タップのケーブルがショートし火災でホテルの部屋が燃えるなどの可能性が十分あります。基本的に海外用の電源タップを買ってください。日本のテーブルタップの規格では125V10Aまたは125V15Aまでしか対応していません。中国は220V10Aまたは220V16Aです。また、感電も日本のコンセント感電の痛さではすみません。
海外で使える電源タップは、旅行前にあらかじめ日本で購入することができます。
左から順に。いずれも変圧機能は付いていませんので海外対応(入力電圧が100V~240V)の機器が必要です。
メーカー | 製品名 |
---|---|
カシムラ | 国内タップ Aタイプ AC4P USB2P 3A WH 1.2m(WM-6) |
ヤザワコーポレーション | 海外用マルチ変換タップ2個口USB2ポート(HPM6AC2USB2WH) |
株式会社デバイスネット | RWG47 海外対応3個口電源タップ ゴーコンタップ (写真はOEM品) |
現時点で一番左のカシムラのWM-6が最新の製品です。最新と言うことでUSBの口が付いているだけでなく、日本と海外の両方で使える仕様となっています。
ヤザワの製品は、海外旅行用の電源タップでUSBが付いた先駆けのものです。
デバイスネットの製品は、海外旅行用の電源タップで変換プラグ付きの先駆けのものです。
いずれの製品も筆者も中国を含む海外出張/旅行で愛用していますが新製品は新製品なりの良さがあり、大連への旅行に限っては変換プラグのことを気にしなくて良いので、カシムラのWM-6を推したいと思います。
改めてこの電源タップ、カシムラWM-6で特筆すべき点は2点あります。
- 国内・海外兼用であること
- コンセントの向き
今までは、海外で使える電源タップは国内では使えませんでした。日本で電源タップを流通・販売する際はPSE規格を取得することが必要となりますが、この製品はその規格の第三者認証を受けることで国内での利用も可能としています。一般財団法人 電気安全環境研究所(JET)の認証となっています。
次にコンセントの向きです。電源プラグに変圧トランスが内蔵され幅や長さがまちまちの電源プラグや充電器が増えたため、電源プラグ同士が干渉して挿せない場合がありました。この製品の場合は4口あり2口ずつ角度が異なることもあり、問題ありません。
Amazonでは別品番NWM-6となっています。メーカーに確認したところWM-6と同じとのことでした。流通ルートにより品番を分けているためと思います。
現地で購入する場合
現地で購入する場合ですが、2つポイントをお伝えします。
まずは、どこのメーカーのものを買えば良いのかというところです。大連ではカルフールなどのスーパー、国美電器、IKEA(IKEAの自社製品のみ)などで購入できます。
電源タップは、中国語で「接线板(接線板)」[jiē xiàn bǎn]と言います。
お店に行けば一目瞭然なのですが日本人が見たことも聞いたことも無い様々な電気機器メーカーの製品が展示台一面に並んでおり、機能、価格帯も幅広く、その多くの中から選ぶかが難しいと思いますので、選択の参考として電源タップでメジャーなメーカーを以下に示します。
中国で一番出回っているメジャーなブランドが「BULL/公牛」です。これがあれば、これでOKです。他メーカーでオレンジなどがありますが、このカラーリングがBULL公牛です。
日本ではスマホメーカーと認識されている「Xiaomi/小米」も、中国では家電メーカーとして電源タップもデザイン的におしゃれな製品を出しています。また日本のパナソニックもあります。
価格の目安として「BULL/公牛」の4口で約40元ほどです。ほんと安いですね。
中国メーカーのもの。
- BULL/公牛
- Xiaomi/小米
- OPPLE/欧普照明
- DELIXI/德力西
- CHNT/正泰
- Deli/得力
- Midea/美的
- Fediao/飞雕
- legrand/罗格朗
欧州メーカーのもの。
- Philips/飞利浦
- SIEMENS/西门子
- Schneider Electric/施耐德
日本メーカーのもの。
- Panasonic/松下
次に電源タップは性能に2種類あります。居住しない限り旅行客は2500Wで十分ですので、念のため購入前にパッケージを確認ください。
- 定格電圧250V、電流10A、最大出力 2500W迄:一般の機器
- 定格電圧250A、電流16A、最大出力 4000W迄:空調、温水器など使用電力大の機器
電源タップの安全度ですが、日本では国内規格であるPSE規格を取得していないものは国内で販売できません。同じような規格制度が中国にもあります。
中国強制製品認証(CCC or 3C)[China Compulsory Certification]という制度です。
電源タップは、強制認証対象品目の指定商品ですので、この認証無しで中国の国内での流通・販売は認められていません。電源プラグなどに以下のロゴ、「国家3C认证」の文言が記載されています。
また購入したものを日本に持ち帰り個人使用として日本のコンセントに合う変換プラグ(Aタイプ)を用いて無理矢理使う場合、CCC制度の定格では 250V, 10A の 2,500Wとなっていますが、CCCには厳密には国際的なIEC規格に準拠したGB規格と独自の業界規格(JB規格)があります。大手メーカーのものは大丈夫ですが、そもそも本当に大手メーカーのものか真偽の見分けがつかなくて気になる方は日本での利用は避けた方が良いと思います。
このOタイプの電源タップは、オーストラリアなどオセアニアと南米の一部の国で利用可能です。現地のECサイトでもXiaomi/小米など中国製品があります。
変圧器の利用
変圧器はスワロー電機、デバイスネットのものが有名です。
- スワロー電機 海外用トランス
- デバイスネット 「ROAD WARRIOR」変圧器
上の写真を例に取ると、240V x 0.05A = 12VA ですので、スワロー電機だと「Mouse series」、 デバイスネットだと「ゴーコン変圧器セット(RWG108)」が候補となります。
30分以上の長時間連続使用の場合は20%程度のマージンを見た定格容量、12VAの場合は15VA以上のものを選んでください。
なお定格容量が大きくなるほど、トランスの種類が変わることで重くなり、使える電子機器の種類が変わったり、価格も高くなります。購入検討時は定格容量だけでなく、利用できる対象機器、製品の重さも確認ください。